高く飛翔せんがための再確認

L1000613

若かりし頃、CM制作の会社で撮影部に属していた。
ロケ、スタジオ、またロケ、現場仕事が基本の撮影部は
早朝から夜中まで、休む事なく毎日撮影現場であった。
 
ある時、プロスキーヤーの三浦雄一郎さん出演のCM撮影が北海道のニセコ山へ出向いた。
メインビジュアルのA班と、スキーシーン撮影のB班、大所帯だった。
私はB班で、当時映画「私をスキーに連れてって」の迫力あるスキーシーンを撮ったカメラマンの下についた。

各種準備+様々なはさみカットを撮影した後、誰もいなくなった夜のゲレンデを皆で滑りながら帰る。
機材類は大きな除雪車に積み込んでもらい、カメラをストックに持ち替え私たちはうかれた。
山頂付近より見える札幌の夜景は見事、スイスイと滑り降り、気持ちのよい瞬間だった。
 
その時、スノードルフィンズ(三浦さんのチーム)の方から
私に初心者さんが滑るボーゲンというスキー板をハの字にひらいて滑る方法のご指導が入った。
そこそこの自信もあったものだから、まさか、斜面に合わせた高等技術ではなく、ボーゲンとは。。。
はてなマークがいっぱいだった。
 
真意が分かるのは次の日。
 
三浦雄一郎さんのジャンプシーン。 
映画用の35ミリカメラは鋳物で出来ていてとてつもなく重い。
それを担ぎながらコース外へと分け入る。
新設フカフカが必要だし、急斜面も必須である。
私は両手でその重いカメラを持ち現場へ。
転んだら下に真っ逆さま、カメラを落としたらカメラ何千万円+撮影予算何千万が。。。
そんな状況だ。
 
つい山側に体も体重もかかってしまう。人間怖いとそうなる。
その時に、昨夜のボーゲン、その体重移動、重心ののせかたが頭をよぎるのである。
 
より過酷な状況では、そうした基礎が最も活きる。
自信やプライドは無力だ。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
暗室の講座をやるとアナウンスした時、もっと上級のコースをというリクエストはいつもの事だ。
私に望まれている事が初心者体験コースでない事は重々承知している。
 
でも、まあ、こういうことなのかと。
 
再度、確認しとこうよ、って。

 

 
 

 

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